卵子提供を検討する方
1.ご夫婦の健康面について-子どもが自立するまでを見据えて-
卵子提供によって子どもを迎えた場合、子どもが自立するまでにはおよそ20年という時間が想定されます。子どもにとって、親ができるだけ健康でいてくれることは、大きな安心につながるものと考えられます。
一般に40~50歳代は、がん*1、心疾患、脳血管疾患などのいわゆる「三大疾病」や、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病の発症リスクが高まる年代であることが知られています。女性では乳がんの罹患がこの年代で増加することも報告されています。
卵子提供を検討する際には、妊娠・出産だけでなく、その後の長い子育てを見据え、カップルそれぞれの健康状態についても確認しておくことが大切と考えられます。人間ドックや定期健康診断を受け、必要に応じて医療機関で相談することは、将来への備えの一つとなります。
また、高血圧、糖尿病、心疾患などの持病がある方や、過去に化学療法などの治療歴がある方は、妊娠・出産が身体に与える影響について、あらかじめ主治医や専門医に相談しておくことが望まれます。
健康状態は個人差が大きく、年齢のみで一律に判断できるものではありません。しかし、長期的な視点に立ち、日頃の健康管理や体力づくりを意識することは、将来の安心につながる可能性があります。
*1国立がん研究センター がん統計「乳房」情報サービス
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/14_breast.html
2.老親介護への備え -将来起こり得る出来事を見据えて-
子どもが成長していく約20年の間には、カップルそれぞれの親世代が高齢期を迎える時期と重なる可能性があります。
近年、子育てと親の介護が同時期に重なる「ダブルケア」という状況が社会的に注目されています。介護は、あらかじめ時期を予測できる場合もありますが、転倒や脳血管疾患などをきっかけに、突発的に始まることもあります。
高年齢で子どもを迎える場合、子どもが乳幼児期や学童期にある時期に、親の介護が必要になる可能性も考えられます。ただし、すべての家庭で介護が同時期に生じるわけではなく、状況は家族構成や健康状態、地域の支援体制などによって異なります。
将来を過度に心配する必要はありませんが、起こり得る出来事の一つとして、あらかじめ話し合っておくことは安心につながる場合があります。たとえば、親の健康状態や住まいの状況、きょうだいとの役割分担、通院の支援、公的介護保険制度の活用などについて、情報を共有しておくことが考えられます。
将来のすべてを見通すことはできませんが、妊娠・出産だけでなく、その後の生活も含めて穏やかに想像してみることは、カップルでの対話を深める一つの機会になるかもしれません。
3.経済的備え -長期的なライフプランニング-
卵子提供を検討しているカップルの中には、すでに不妊治療に多くの時間と費用を費やしてきた方も少なくありません。そのうえで、さらに高額となることの多い卵子提供を検討している場合、妊娠・出産という直近の出来事に意識が集中しやすい状況にあるかもしれません。
しかし、子どもを迎えた後には、日々の養育費に加え、保育・教育費、進学に伴う学費など、長期にわたる支出が見込まれます。また、子育て期は、老親の介護やご自身の老後資金の準備と重なる可能性もあります。
もちろん、すべてを正確に予測することはできませんし、将来の収入や支出は状況によって変化します。卵子提供の治療費だけでなく、その後の生活全体を視野に入れてライフプランニングを考えてみることは、将来の安心につながる場合があります。
カップルそれぞれの価値観や生活設計に合わせて、どのような暮らしを望むのかを話し合うことは、結果として経済的な見通しを立てることにもつながります。