1.卵子提供とは
卵子提供とは、第三者の女性(卵子ドナー)から卵子の提供を受け、その卵子と夫の精子を用いて体外受精(または顕微授精)を行い、得られた受精卵(胚)を妻の子宮に移植して妊娠・出産を目指す生殖補助医療の一つです。一般に「卵子提供」と呼ばれています。
この治療の対象となるのは、卵巣形成不全、早発卵巣不全、早発閉経、卵巣摘出術後、抗がん剤などの化学療法や放射線治療後、遺伝性疾患がある場合など、第三者から卵子の提供を受けなければ妊娠が難しい女性です。また、加齢などにより卵巣の反応性が低下し、生殖補助医療を行っても妊娠の可能性が極めて低いと考えられる場合にも検討されることがあります。
卵子提供によって妊娠・出産した場合、生まれた子どもには出産した女性の遺伝子は受け継がれず、遺伝的には夫の遺伝子のみが受け継がれます。一方、日本では2021年に「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律」*1が制定され、
出産した女性をその子の母とすることが法律で定められました。
※「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律」
法務省 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00172.html
本文 https://www.moj.go.jp/content/001342904.pdf
2.日本における卵子提供の現状
日本では、日本産科婦人科学会の会告により、第三者の卵子を用いる生殖補助医療の実施は規制されています。これは法律による規制ではなく学会による自主規制であるため法的拘束力はありませんが、体外受精を実施する医療施設の多くが日本産科婦人科学会の会則を遵守していることから、実質的には国内で卵子提供が行われることはほとんどありません。
このような状況から、卵子提供を希望するカップルの多くは、海外で卵子提供を実施しているクリニックや、海外の仲介業者と提携している医療機関などで治療を受けているといわれています。
一方、JISART(日本生殖補助医療標準化機関)*1では独自のガイドラインを策定し、提供卵子を用いた治療の対象となる場合には、ガイドラインに基づいたカウンセリングなどを行ったうえで、JISARTの倫理委員会の承認を得た医療機関において卵子提供が実施されています。子どもが誕生した後も、一定のアフターフォローが行われています。詳しくは、JISARTのホームページをご参照ください。
なお、日本産科婦人科学会では、第三者の精子・卵子などの配偶子を用いる生殖補助医療の法整備に向けた検討が進められており、国民からの意見募集なども行われています。現在の制度的な状況については、「法整備」のページで説明しています。
*1 JISART ホームページ https://jisart.jp/