生まれた子への告知
3.告知が推奨される時期
配偶子提供による生殖で生まれた子どもへの告知については、近年、できるだけ幼い時期から事実を伝えていくことが望ましいとする考え方が広がっています。
子どもがまだ十分に理解できない時期(妊娠中や乳幼児期など)であっても、どのように話すとよいかを考えながら言葉にしてみることは、親にとっての「練習期間」になるともいわれています。幼い頃から自然な形で話題にしていくことで、子どもにとっても特別な出来事ではなく、家族の物語の一部として受け止められやすくなると考えられています。
一方、子どもが成長するにつれて、話すタイミングや伝え方が難しくなることも、諸外国の研究や報告から指摘されています。そのため、幼少期から少しずつ伝えていく「テリング(telling)」という考え方が世界的に広がっています。
しかし実際には、告知のタイミングについて迷っているうちに、子どもが小学生になっているご家庭もあるかもしれません。そのような場合でも、年齢に応じた伝え方の参考資料が用意されています。たとえば、英国のDCネットワークでは、8~11歳の子どもを対象としたガイドブックなどがホームページで紹介されています(有料)。
思春期以降に事実を知った場合、子どもにとって大きな衝撃となる可能性があることも指摘されています。そのため、告知の時期や伝え方について迷いがある場合には、配偶子提供に関するカウンセリングや子どもの心理に詳しい専門家に相談することも一つの方法とされています。
<参考>
・ASRM(米国生殖医学会) https://www.asrm.org/
・ESHRE(欧州ヒト生殖・胚学会) https://www.eshre.eu/
<DCネットワークのガイドブック(通販サイトにもあります)>
・Telling and Talking 0-7 Years - A Guide for Parents, 英語版,
ドナー・コンセプション・ネットワーク
・Telling and Talking 8-11 Years - A Guide for Parents,,英語版,
ドナー・コンセプション・ネットワーク
・Telling and Talking for the first time 12-16 Years - A Guide for Parents,, 英語版,
ドナー・コンセプション・ネットワーク
・Telling and Talking about Donor Conception,, 英語版,,
ドナー・コンセプション・ネットワーク
※告知に役立つ絵本は、日本語、英語で各種販売されています。
4.ドナーリンクという仕組み
近年、海外では「ドナー・リンキング(Donor Linking)」と呼ばれる仕組みが広がっています。これは、提供精子や提供卵子によって生まれた人や提供者(ドナー)が、自分の情報を登録することで、同じドナーに由来する人同士やドナー本人とのつながりを確認できる可能性をもつ仕組みです。
多くの場合、当事者が自ら登録する任意のシステムであり、すぐに相手が見つかるわけではありませんが、将来的に出自に関する情報を知る機会につながる可能性があります。
日本でも、こうした取り組みとして「ドナーリンク・ジャパン」*1が設立されています。この団体では、提供配偶子によって生まれた人やドナーなどが任意で登録できる仕組みを提供しています。
詳しい情報については、ホームページをご確認ください。
出自に関する情報の捉え方や関わり方は人それぞれであり、どのように向き合うかは個人や家族の価値観によって異なります。
*1 ドナーリンク・ジャパン https://donorlinkjp.org/